キャリアラボ

キャリアに悩む帯同家族の味方 @indonesia

【5月コラム】~駐妻STORIES:小林奈保さん~

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 ※この記事は代表の向が所属していたキャリアカフェのWebサイトから拝借しております。キャリアカフェのクローズに伴い、貴重なコラム記事を駐妻・駐夫の方々のために残すべく、キャリアラボのサイトにも許可を得て掲載させて頂いております。記事内に「キャリアカフェ」の記載があるのはそのためです。

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こんにちは、向です!

今月は月イチコラムの新シリーズ、「駐妻STORIES」です!!  

 

 

様々な駐在夫・駐在妻の方に帯同前から本帰国までの経験を インタビューさせて頂き、その内容を皆様に 共有させて頂こうという企画です!  海外という未知の世界での生活を前に生活のことからキャリアのことまで 不安や悩みは尽きないと思います。 そんな悩めるプレ駐妻・駐夫の方々には 帯同生活の様子を知って頂き、本当に帯同するのがいいのか...という 判断材料に活用して頂いたり、  既に帯同生活をスタートされている 駐在夫・駐在妻の方々には帯同中に取り組む活動の参考にして頂いたり、本帰国後の復職の様々な形を知って頂き、復職の形の選択肢を増やして頂いたり、復職の不安を小さくしていただけたらと 思っております!  

 

ご自分のご経験を快く共有して下さった駐妻OG・駐夫OBの方の広い心とお忙しい時間を割いてインタビューに 答えて下さった駐妻OG・駐夫OBの方の ボランティア精神に感謝して記事を読んで頂ければと思います♪  

 

今回引き受けてくださったのは 小林奈保さんです♪  

小林奈保さん
バンコクに2010年3月~2014年4月、 新卒で印刷業界大手に入社。 営業職として働くが、過労で体を壊し、 興味を持った財務会計経理職に転職。 帯同するまで計11年間会社に勤められた後、 帯同家族として海外へ。

 

帯同を決める際に 悩んだことはありましたか?


仕事が好きで、やりがいもあったので 辞めたくなくて悩みました。

 

  その悩みはどのように解決しましたか?


会社の人事に相談して 休職制度を作ってもらいました。また、尊敬する先輩社員の方から「仕事以外でも積めるキャリアがある。 いろんなものを吸収して戻って来い」という言葉で帯同することを 決心することができました。  

 

帯同を決めた理由は何ですか?


家族で一緒にいたかったからです。元から家族で一緒にいるというのは 決めていたので帯同しないという 選択肢はありませんでした。  

 

帯同期間中の前職の扱いは どんな状態でしたか?


当初は休職でしたが、 休職が認められていたのは3年で夫の駐在が5年だったので 3年を過ぎたところで 結局退職となってしまいました。  

 

休職を選択した理由は何ですか?


当時の仕事はやりがいもあり、 自分にも合っていると感じていたので出来れば同じ会社に戻りたかったからです。ただ夫の駐在期間が5年だったのに対して、 休職が認められたのは3年だったため、帯同途中に退職することになりました。残念な気持ちはありましたが、 3年も経つと前と同じように働けるのか、という不安もあり、 仕事をしない生活も充実してきた頃だったので退職になるなら自分だけ先に帰国しよう… とは思いませんでした。  

 

帯同中は どんな活動をされていましたか?


【活動1】<バンコク時代>

自分たちの資産運用をするために オフショア取引を学び、オフショア投資を始めました。働けないのであれば、 自分たちの資産を守り、増やすために自分の労力を使いたいと思ったのと、海外にいることで豊富な海外の資産運用法を 学べるチャンスだと思ったので始めました。  

 

【活動2】<バンコク時代>

資産運用をしていた関係でFPの方と出会い、その方の活動をボランティアで 手伝っていました。セミナーの開催、資料の作成、顧客管理等を 行っていました。自分も興味のある分野だったので、 たくさんのことを学ぶことができ、信頼できるFPの方の力になれることも 嬉しかったです。  

 

【活動3】<バンコク時代>

WISEという現地のニュースペーパーの ライターをボランティアで行っていました。現地のレストランに取材に行って 記事を書くなどしました。そのおかげで タイの現地の人たちとも接する機会が増え、 貴重な経験になりました。

 

【活動4】<バンコク時代>
バンコク在住の日本人が利用する オークションサイトの製作に挑戦しました。日本のものがなかなか手に入らない状況下で品物が欲しい人と本帰国やストックの整理等で不用品を処理したい人のマッチングをしたら 需要と供給がマッチして、皆さん便利になるのでは と思ったので挑戦しました。知り合いのSEの方と一緒に取り組んだのです が技術的に難しく、 途中で断念せざるを得なかったのが 悔しかったです。

 

【活動5】<ジャカルタ時代>
現地のベリーダンスのチームに所属して 毎日のようにレッスンに通い、時には結婚式やバー、レストランで パフォーマンスをしていました。日本では踊るスペースも 時間もなかったのですが、ジャカルタでは恵まれた状況下でずっとやりたかったベリーダンスに 熱中することが出来ました。また、インドネシア人と一緒のチームだったのでインドネシア語も上達し、 彼女たちの生活に触れることが出来たのがとても貴重な経験でした。

 

【活動6】<ジャカルタ時代>
ジャカルタNyaman Projectで 主に財務経理・集客を担当していました。自分の持つ財務経理のキャリアを 必要としてもらえることが嬉しく、また、その活動趣旨に感銘を受けて、 その一員に参加することが出来てとても刺激を受けました。

 

【活動7】<ジャカルタ時代>
ジャカルタキャリアカフェの キャリア形成支援プログラムを利用して、幸せな結婚生活構築プロジェクトに 挑戦しました。セミナーの実施、公式LINEでの情報発信、 個別相談の対応などを行いました。また、活動中に意外なルートで 本の出版の申し出を受け、本を出版することができました。現在、台湾、ベトナム、中国でも 翻訳されています。ここで初めて、自らの経験を発信するという 経験をすることが出来ました。

 

【活動8】<ジャカルタ時代>
日本人学校のPTA本部役員となりました。PTA委員選出方法の改革(自薦可能にした) PTA委員への交通費の支給、不要業務の削減、 業務分担の見直し等の改革を実施しました。くじ引きで当たってしまった結果だったのですが、どうせやるからには改革したいと思い、 組織の改革に取り組みました。1年の任期では 不完全な部分も多く残る改革でしたが、いい仲間に恵まれ、 「PTAを変えることは出来る」と 示せたことはひとつの成果だったと感じています。

 

【活動9】<ジャカルタ時代>
ジャカルタ素のまんま計画という団体で 財務経理を担当しました。ジャカルタあるあるを募集して作った 「ジャかるた」というカルタを販売したり、イベントを運営したりして、 その売上金は寄付しました。今までにないことをやってみよう という仲間と一緒に「体験型バザー」や 「ハリウッドで活躍する女優さんを 呼んでのイベント」など、たくさんの面白い体験が出来ました。

 

【活動10】<ジャカルタ時代>
友人が始めた「バザー告知LINEグループ」をこれは便利だ!と思って引き継がせてもらい、多くの人が不用品の売買や情報共有ができる グループにするべく、ルール作り、管理担当を行いました。バンコクで挫折したものが、 違う形になって、今でも多くの方々に利用してもらえて 嬉しいです。

 

帯同期間中どんなことに悩みましたか?

卒業後ずっと働いてきたので、最初は「主婦」という立場にも慣れず、 他愛のないおしゃべりにも参加出来ず、おしゃれなおもてなしも出来ずで、間違った世界へ来てしまったのかも、と自分の居場所を見つけることが出来ず 辛かったです。

 

その悩みをどう解決しましたか?

帯同生活を始めてから2カ月くらいで無理して周りに合わせようとすることに 疲れてしまい、1人でもいいや、と開き直っていたら、自然に話が合いそうな方が 話しかけてくれるようになりました。その後は自然と気の合う人が 集まって来てくれるようになり、帯同生活を楽しめるようになりました。その時に「ありのままの自分」でいれば、自然とそんな自分に合う人と 出会えるんだな、と 肩の力が抜けたような気がします。
 
もちろん、最初は 何が自分のありのままなのか 分からないことも多いと思うので、がむしゃらにいろんな場に行ってみるのも いいと思うのですが、「無理をしないこと」を 第一に考えていくようにすると、自然と自分が楽にいられる場、 楽しくいられる場が見つかることが分かり、2か国目の時はすんなり 馴染むことができました。  

 

仕事を辞めて帯同された方々は 特にだと思いますが、 帯同してすぐは 自分の存在意義を見失ったり、 目標を失って何をやればいいのかわからなくなる方が多いと思います。そんな状態の方々に向けた アドバイスはありますか?


特に仕事を頑張ってきた人は「働いていないと自分の存在価値はない」「社会の役に立ってない自分には価値がない」「頑張っていなければ価値がない」 と思いこんでしまう人が多い気がします。私もそんな一人でした。けれど「頑張っているから、 役に立っているから愛される」より、「何もしてなくても愛される」という方が 実は嬉しくないでしょうか。

 

自分の存在意義に悩んでしまう方は、今まで本当に頑張ってきた方が 多いと思います。だからこそ、駐在期間は「長い人生の間の、 神様がくれたロングバケーション」と思って、思い切り自分を甘やかしつつ、一度ダメ人間になってみることに 挑戦してみてください!

 

その際のコツは、 自分で自分を いい気分にすることかなと思います。いい気分でいる人は それだけで周りの人を幸せに出来るので、自分ではダメ人間だ、と思っても、意外と周りはそんな自分を 受け容れてくれるし愛してくれるので、それを実感すると、 今度は何も怖いものがなくなります!

 

美味しいものを食べる、 カフェでゆっくり本を読む、 お風呂にゆっくり浸かるなど、自分が好きなことをしてもいいし、「人の役に立っていないな」と思うと 嫌な気分になると思ったら、「たまには自分の為に時間を使ってみよう」 と考えたり、「今は何かをしてもらった側の気持ちを 知ってみよう」とよりいい気分になる考えを採用してみたりと、自分がどうしたらいい気分になれるのか 試行錯誤してみてください。ご機嫌でいることだけで みんなの役に立っているんだ と思い込んで一度やってみてください。必ず新しい世界に行けると思います。

 

生活を充実させるためにどんな意識を持ち どう行動されていましたか?

自分で自分をご機嫌に出来るように、 迷ったら気分のいい方の選択、気分のいい方の考え方 を採択して行動するようにしていました。そうすると基本ポジティブに 行動できるようになるので、自然に生活が充実していきました。

 

  本帰国の準備は何をしましたか?


日本に帰国する際、 夫から日本では家の資産運用をしてくれ と言われていたため、資産を運用する方法を調べ始め、 そこで興味を持った不動産投資について、知識を深めるべく 事前にいろんな会社と面談等をしました。  

 

再就職活動を始めたのは いつからでしたか?


帰国の3カ月前から資産運用の勉強を 始めました。  

 

就職活動の方法はどんなものでしたか?


まずは今までほったらかしになっていた 資産の整理と運用を始め、落ち着いたら就職しようと 考えていたのですが、殊のほか不動産投資に夢中になり、本帰国後は資産運用のための会社を 設立しました。  

 

復職する際の業界は どのように決定しましたか?


現在は不動産業界で資産運用のための 会社経営に専念していますが、ある程度自由な時間を確保できているので、今後会社に再就職するとしたら、 今までのキャリアを活かして財務経理という職種で選びたいと 思っています。そのため、 業界は問わず探したいと思っています。  

 

業復職する際の職業は どのように決定しましたか?


今後また再就職するとしたら 現在不動産投資もしているので、過去のキャリアを活かしつつ、 現在必要な知識を得ることができる不動産経営に強い税理士事務所等で 働きたいと思っています。    

 

現在のご職業・働き方の 良い点は何ですか?


自分の好きな時間に 好きなように働けることです。特に子育てをしながらの 会社勤めでの共働きは 時間に余裕もなく、夫も妻も双方に負担が大きいものなので、片方が稼ぎ、片方が資産を守り増やす、 という働き方も新しい時代の共働きの選択肢として お勧めしたいと思います。  

 

現在のご職業・働き方の 改善したい点は何ですか?


成功も失敗も すべてが自分の責任になってきますが、あまり追い込まれず 楽しくやれるようになりたいです。また、今は勉強のために 全部自分でやっていますが、もう少し効率化して、 外部に任せられることは 任せていきたいと思っています。  

 

帯同期間中のご経験で 今に活きていると思うものは ありますか?


どんな状況下でも、 その中で柔軟に対応する力です。  

 

帯同を経験して得たものは何ですか?


たくさんの想い出と仲間と 日本では出来ない経験の数々です。  

 

帯同を経験して失ったものは何ですか?


大企業での継続したキャリアです。  

 

帯同前後でどんな価値観の変化が ありましたか?


帯同前はキャリア=仕事でしたが、仕事だけではなく、 人生そのものがキャリアで、無駄になることはひとつもないという 考え方に変化しました。  

 

帯同期間前・または現在帯同中の 駐妻・駐夫の方に アドバイスをお願いします。


駐在期間というのは ある意味強制的に環境が変わるので、最初は困惑して当たり前、 前向きに考えられなくて当たり前、と気楽に構えてスタート出来ると いいと思います。最初から「何か得なければ!」 「ブランクにしないようにしなくては!」とハードルを高くしてしまうと、 思うようにならない現実に、より落ち込んでしまったりするので、まずは目の前のことに 一生懸命に取り組んでみて下さい。そうすると必ず状況は変わってきます。

 

つい、周りの人がキラキラしてみえたり、会社の同期がどんどん活躍していく姿を見て 焦ったりすると思いますが、自分の人生は自分のものなので、自分らしい自分にしか出来ない道を 自分のペースで進んでいけば大丈夫、と安心して「今」に自分を委ねてみてください。その際に「ありのままの自分」でいることが 大事になってくるのですが、それは「自分が心地いいかどうか」で 判断していくと自然に自分の道が見えてくると思います。  

 

...はい。 皆さま読んでみていかがだったでしょうか?

普段から奈保さんはとても明るくて パワフルな方なので、どんなお話が聞けるのかな...と 、とても興味があったのですが、帯同中にシステム開発にチャレンジするなど、私の想像のはるか上の活動をされていました。私もこんな風に充実した帯同期間にしたいなと 強く感じました。  

 

また皆様に注目して欲しいと思ったのは以下2つの質問に対する奈保さんの答えです。  

仕事を辞めて帯同された方々は 特にだと思いますが、帯同してすぐは自分の存在意義を見失ったり、目標を失って何をやればいいのか わからなくなる方が多いと思います。そんな状態の方々に向けた アドバイスはありますか?」  

 

帯同期間前・または現在帯同中の 駐妻・駐夫の方にアドバイスをお願いします。」  

 

"ご機嫌でいるだけで役に立っていると思い込む""最初からハードルを高くしすぎないこと"これらは重要なキーワードだと思います。  

 

私自身も渡航してきたばかりの頃は「人の役に立てていない自分」="悪"と 感じてしまい、何かしなくては!!と めちゃくちゃ焦っていました。

 

でも焦っても自分ではどうにも コントロールできない壁にぶつかって、いらいらしたり、悲しくなったり... ご機嫌でいられない時期がありました。  そんなときに奈保さんから上の2つのような 言葉をかけて頂きました。

 

それで救われて、今では落ち込むこともなく 毎日充実した生活を送れています。  確かにご機嫌でいると主人も安心して 仕事に注力できているように感じますし、ご機嫌でいるために色々やっていたら、やりたいことがどんどん出てきて 悩んでいる暇はなくなりました。  

 

そして、ハードルは低く、焦らずに 目の前の事に一生懸命取り組むようにしたらどうしようもないことで悩まなくなりました。  

 

まだまだ先のことはわからないし、 不安であることに変わりないですが、変に焦ってもどうしようもないんですね...それなら悩むのをやめて思いっきり 目の前の生活を楽しんじゃいましょう♪  

 

そうやって自分の好きなように過ごして、目の前のことに一生懸命取り組んでいたらいい未来が待っていると信じて 私も一生懸命取り組んでいるところです。  

 

ぜひ皆さんにも"ご機嫌でいること"と "ハードルを低く設定すること" を実践してみてほしいと思います。  

 

奈保さん改めまして 今回の企画にご協力頂き ありがとうございました!